ジョラームの船
船はお金持ちの持ち物。
という観念は、オーストラリアでは必ずしも正しくはない。
もちろんクルーザーやヨットを始め、高価なのも確かだ。
しかし、国から失業保険をもらっている友人ジョラームも船を持っている。
いや、持っていた。
彼は2008年、1800ドルで中古の船を買った。
ほぼ国から支給された金で。
ヤンマーの古いディーゼルエンジンに、2人が何とか寄り添って寝れるキャビン付きのボートだ。
安いので、わかっていて購入したが、かなりポンコツだ。
オイルは漏れるし、古い木造の船体なので、少しずつ水が漏る。
シーリングで補修した跡もかなりテキトーだ。
かといって陸に揚げるトレーラーもないし、係留すると金がかかる。
そんなボートを残してジョラームはメルボルンにしばらく行ってしまった。
そしてボートに溜まった水抜き作業を僕とトニーに残して。
我々は約2カ月間、2週間に1度は小型ボートを漕いで、バケツで水抜きに出かけた。
そんな我々2人もタスマニアをしばらく離れることになった。
電話越しに、ジョラームはもうすぐ帰るからいいよと言った。
しかし、その後しばらくしてボートは沈黙のうちに沈んだ、、、、
by hideoku0413
| 2012-03-29 22:45
| タスマニア