ナツメヤシの仕事 1
メルボルンから数千キロ走ってはるばるこのアリススプリングスまで来たのは、ただ目的も無しに旅をしに来たのではなかった。知り合いのツテを頼って、アリススプリングスから南東に80㎞程離れた砂漠の荒野の中に存在するTamara Farmと言うナツメヤシ農園の視察が大きな理由だ。
世の中色んな仕事があるが、私は今まで、そして現在においても、正規雇用という条件での仕事は稀だ。要するに1か所に落ち着く生活スタイルではなく、生活環境、仕事内容や雇用条件もその環境次第で変化する。拠点を築くことの必要性は強く感じるが、社会的に身軽さを保持したまま興味のある分野で活動することが私にとって意義のある生活だと思う。
今後もそうした生活スタイルかと言うと不明だが、体力的に無理の効く年代にそういった生活をしたことが、自身のアイデンティティーにつながっているように思える。少なくとも自分自身の性格には合っていたとも言える。いささか多方面に手を付けすぎている感もあるが、限りある年齢的な可能性を有効に使いたいので時間的な無理は深く考えないことが多い。
Tamara Farmについては、数年前にタスマニアの知り合いから聞かされた。彼の息子のBenが面白いことをやっているから是非見に行ってみたらどうかと。
数十年前に以前の農場主によって築かれたナツメヤシ農園とその一角の敷地は、現在Tamara Farmという会社として独立した組織に譲与され、その中にナツメヤシ農園の管理業務として組み込まれているDesert Fruit Companyがある。まだ新しいその両組織は依然満足に機能はしておらず、マネージャーとして汗を流しているBenが現場をほぼ一人で管理している。
現在Tamara Farmの6名のメンバーの下、農園業務の他、敷地を有効に創造的に利用する計画が進んでいる。金銭的利益を得る目的では無いその事業に、僕も共同経営者の一員として加わることを前提に視察したいと考えここまで来た。
市内でBenと合流し、彼の車に荷物を積み込み農園に向かう。毎週3日ほど3週続けて農園での作業に手を貸す。
Benが自身で作りかけのコンテナハウスに寝泊まりする間、僕はYartと呼ばれるモンゴル式ゲルの仮住まいに寝泊まりする。町から離れているだけあって、周り数十キロに人家は一切無く、携帯もネットも一切通じない場所だが、少量の太陽光発電には事欠かない。
背の高いヤシにスプレーする作業。有機栽培だが、White Oilと呼ぶ有機油を水で溶かした溶剤を散布する。有機油を葉の表面に塗布することによって、ハエなどの小虫が卵を産み付けられないようにするためだ。
散布機とつながっている溶剤のタンクは重いので、トラックの荷台に積み、私はそのトラックを適当な距離に保ち少しづつ移動するだけ。
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by hideoku0413
| 2016-01-16 21:39
| ナツメヤシ農園事業